1.仮想通貨交換業者を巡る課題への対応
日時:平成30年12月14日(金)15時30分~17時30分
「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第
(1)顧客財産の管理・保全の強化
イ.仮想通貨交換業者の倒産リスクへの対応
・業務上、顧客財産を預かる業者には、下記等の観点から『自己財産』と『顧客財産』の分別管理が求められる。
①顧客財産の流用の防止
➁破綻時における顧客財産の明確化
・日本の金融法制における『分別管理』の方法は、自己と顧客の財産を明確に区分したうえで、下記の採用に大別される。
①顧客を受益者とする『信託』により顧客財産を保全する方法
②顧客毎の財産を『直ちに判別できる状態』で管理する方法
・金融商品取引業者の例
前述①のケース=信託義務:顧客から(所有権の移転を伴う)消費寄託により預かった金銭
前述➁のケース=直ちに判別できる状態:顧客から(所有権の移転を伴わない)寄託により預かった有価証券
当該金融商品取引業者が破綻しても、分別管理が適切である限り、下記による弁済が可能
・金銭については信託受益権の行使
・有価証券については所有権に基づく取戻権の行使
(2)受託仮想通貨の保全
・仮想通貨交換業者は資金決済法上、受託仮想通貨について、下記の観点から顧客毎の財産を直ちに判別できる状態で管理することを求める。
①私法上の位置付けが明確ではない
➁過去の破綻事例において見られたような顧客財産の流用を防止する
・仮想通貨交換業者に対し、公認会計士または監査法人による『分別管理監査』および『財務諸表監査』が課されている。
・仮想通貨交換業者の職員が、受託仮想通貨を私的に流用していた事実が、行政当局による検査・モニタリングにて認められた。
・まず、各仮想通貨交換業者におけるコンプライアンスの徹底が求められる。
・適切に『分別管理』が行われても『受託仮想通貨』について倒産隔離が有効に機能するかは定かではない。
・仮想通貨交換業者に対し、『受託仮想通貨』の倒産隔離の観点から『信託義務』を課すことも考えらが、下記理由により困難である。
①仮想通貨の種類や受託仮想通貨の量が増加
➁信託銀行・信託会社におけるセキュリティリスク管理等
③それらにかかる態勢整備の必要性
・上記①~③が十分な態勢整備等で図られる場合、仮想通貨交換業者が『受託仮想通貨の信託』を行うことが望ましい。
・上記が困難で行われ得ない現状であれば、下記が適当と考えられる。
顧客が取引を行う際、仮想通貨交換業者の『財務の健全性』を認識できる
仮想通貨交換業者に対し『財務書類(貸借対照表・損益計算書等)の開示』を求める
・仮想通貨交換業者が破綻しても、受託仮想通貨の顧客への返還が円滑に行われるようにする。
・仮想通貨交換業者に対する『顧客の受託仮想通貨』の返還請求権を優先弁済の対象とする。
・顧客が、仮想通貨交換業者に対して有する権利について、法令等で明らかにすることが望ましい。
・受託仮想通貨の返還請求権を優先弁済の対象とするには、他の債権者との関係にも留意が必要。
・優先弁済権の目的財産を、『受託仮想通貨』と『顧客のために保持を求める弁済原資(同種の仮想通貨)』に限定する対応も考えられる。
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