ヤバイ!仮想通貨 その6 「儲かった仮想通貨取引所」

市場最大規模の仮想通貨流出事件となったコインチェック事件から1年が経過した。何しろ、流出した仮想通貨はNEMで約580億円だったのだから、

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ヤバイ!仮想通貨 その6 「儲かった仮想通貨取引所」

「儲かった仮想通貨取引所」

市場最大規模の仮想通貨流出事件となったコインチェック事件から1年が経過した。
何しろ、流出した仮想通貨はNEMで約580億円だったのだから、騒ぎにならないはずがない。ちなみに日本国内の仮想通貨取引所で発生した、最初の仮想通貨流出事件は、マウントゴックスだったが、この時の流出額がビットコインが114億円相当と現金28億円だった。

コインチェック事件については、事件後、流出した仮想通貨NEMの行方を追跡する動きはあったが、結論から言えば現状、犯人を捕らえるところまで行くことはできず、NEM財団は流出したNEMの追跡を諦めたようだ。というのも、犯人が「Cryptocurrency Exchange」という仮想通貨取引所をつくり、そこで盗んだNEMを時価よりも15%割安にして販売し、昨年3月末には完売したからだ。犯人が盗んだNEMは、ビットコインやライトコインといった別の仮想通貨に交換され、それ以上の追跡が出来なくなってしまった。
結局、被害者に対しては、コインチェックが盗まれた額の大半を自己資金で返還した。
金額にして、実に460億円にものぼる。

それにしても、自己資金で460億円もの返還が出来たことに驚かされる。
失礼な言い方に聞こえたとしたら申し訳ないが、当時の経営者はまだ30代前半だ。今はマネックスグループが完全子会社にしているが、同社が設立されたのは2012年のこと。たったの6年間で、460億円もの返済に応じることができるほど、自己資金を貯めていたことになる。

会社設立から6年間で460億円を貯めていたとしたら、年ベースで76億円超ものハイペースで利益を蓄積してきたことになる。これに驚かない方がおかしいだろう。でも、まあ確かに、やりようによってはこのくらいのペースで利益を積み上げられるのかも知れない。何しろ、取引所として投資家からピンハネしている金額が、滅茶苦茶大きかったからだ。実際、スプレッドはビットコインで5%以上あったと記憶している。スプレッドとは、売値と買値の価格差のことだ。たとえば米ドル/円にたとえると、銀行から見て米ドルの買値が1ドル=100円、米ドルの売値が1ドル=105円にしているようなものだ。投資家からすれば、1ドル=105円で銀行から米ドルを買い、同時に売却した場合の米ドルの売値は1ドル=100円になる。この差額の5円がスプレッドに相当する。

それにしても、為替の世界で現状、このような滅茶苦茶に広いスプレッドは存在していない。多数のFX会社が参入し、滅茶苦茶なコスト削減競争を繰り広げた結果、スプレッドは急速に狭まった。現在の米ドルのスプレッドは、FX会社にもよるが、最も狭いところだと1ドルにつき0.003円くらいのものだ。
スプレッドが狭くなるのは、投資家からすれば歓迎すべきことだが、FX会社にとっては必ずしも歓迎とは言えない。それだけ収益が減ってしまうからだ。
もちろん、スプレッドが狭くなったとしても、その分だけ大勢の投資家がどんどん回転を効かせた取引を繰り返してくれれば、全体で見ればある程度、収益は得られる。しかし、今のFX業界はスプレッドが狭くなったにも関わらず、取引量自体は大きく増えていない。つまり儲からなくなったということだ。
将来的に、仮想通貨も同じ道筋を辿るような気がしてならない。個人がマイニング以外の方法で仮想通貨を入手しようとしたら、仮想通貨販売所で買うか、仮想通貨取引所で板取引をするかのいずれかになるが、現状、仮想通貨販売所で売買する際のスプレッドは3%程度を維持している。

しかし、板取引のスプレッドは0.02~0.04%程度だ。ちなみに両方ともビットフライヤーの料率である。
現状、仮想通貨販売所におけるスプレッドは3%程度だが、かつては5%、あるいは10%を取っていたところもあった。それから比較すると、たとえ3%とはいえ、かなり下がったという印象を受ける。
今、多くの仮想通貨取引所に金融庁の指導が入っているだけに、「投資家保護」の観点から、コストを引き下げざるを得ない状況に追い込まれていくのではないだろうか。
金融庁は投資信託、保険のコスト構造にメスを入れており、少なくとも投資信託に関していえば、かなりコストが下がった。当然、仮想通貨の売買にかかるスプレッドが5%も開いていたら、金融庁も指摘してくるだろう。そうなると、少なくとも国内の仮想通貨取引所に関して言えば、収益が上がりにくいビジネスになる。

もちろん、2017年の年末にかけてのように、仮想通貨の価格が暴騰して、活発に取引が行われれば、ある程度の収益は確保できる。しかし現状、価格は大幅に落ち込んだまま、なかなか上昇する兆しが見えてこない。ちなみに日本におけるビットコインの月間取引高は、2017年11月が452万947BTCだったのに対し、2018年11月は175万9729BTCまで落ち込んでいる。また年間の取引高は、2017年が2880万1870BTCだったのに対して、2018年は2111万3673BTCだった。価格だけでなく取引高まで落ち込めば、仮想通貨取引所の収益はさらに厳しくなる。

前回、国内仮想通貨取引所の預かり資産で、1億円以上の人が全体の0.02%しかいないという事実を指摘したが、国内仮想通貨取引所から海外仮想通貨取引所にキャピタルフライトが起こっているとしたら、国内仮想通貨取引所はいよいよ厳しい状況に追い込まれるだろう。

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