ヤバイ!仮想通貨その8 「取引所冬の時代」

仮想通貨取引所はこれから本格的に淘汰の季節を迎えることになるだろう。

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ヤバイ!仮想通貨その8 「取引所冬の時代」

取引所冬の時代

かつてFX(外国為替証拠金取引)業界が、大量淘汰の嵐に巻き込まれた時があった。
FX業界が最盛期だった2000年代の初頭、FX会社の数は一時期400社にも達した。それが度重なる規制の強化によって、今では店頭FX業者の数は60社程度まで目減りしている。正直、それでも60社も残っているのかという印象ではあるが、仮想通貨取引所も同じように、これから本格的に淘汰の季節を迎えることになるだろう。

仮想通貨の価格は、相も変わらず低迷を続けている。ビットコインの対円レートは、昨年12月半ばに1BTC=36万円台までさげた後、やや持ち直しつつあるが、それでも3月後半時点の価格は1BTC=44万円前後だ。確かに、値上がりしたといえばしているが、中長期的なチャートを見ると、ほんのわずかな持ち直しに過ぎない。横ばいといっても良いだろう。
仮想通貨に関して、純粋に通貨としての側面、つまり決済や送金目的で利用している人は、ほとんどいない。大半は、仮想通貨の値動きに乗じて売り買いをし、キャピタルゲインを狙っている投機目的の参加者で占められている。
FXの場合、為替レートの値動きが極めて小さい時でも、内外金利差が広がっている時であれば、スワップポイントという収益を得られることもあるが、仮想通貨の場合、この手のインカムゲインは一切生じないため、収益の源泉はキャピタルゲインのみになる。ということは、マーケットで値動きが無くなれば、投資対象としての妙味が大幅に薄れることになる。

チャートを見れば分かるが、たとえば対円でのビットコインの値動きも、趨勢的には底を打って上昇トレンドを描いているようにも見えるが、日々の値動きは極めて限定的だ。つまり短期の投機家が参入できる状況ではない。
しかも前回、「億り人の末路」というタイトルで指摘したが、2017年末にかけて仮想通貨バブルが生じた時、大儲けした億り人たちの中には、それを法定通貨に換金するタイミングを失ったまま仮想通貨の暴落に遭い、ピーク時に比べて資産価値が大幅に目減りしてしまったケースもあると聞く。
あのピーク時の価格を知ってしまった以上、今の価格で法定通貨に換金しようという気には、とてもなれないはずだ。そういう連中は、仮想通貨を保有したまま、再び価格が上昇に転じるのをじっと待っているに違いない。
すでに高値で売り抜けていれば、手元には潤沢な法定通貨があるはずなので、価格が底を打ったと思われるタイミングで、新規の買いを入れてくる可能性はある。ただ、塩づけ状態でじっとしているとしたら、この手の買いは生じて来ない。つまり既存の仮想通貨トレーダーからは、新しい買いは期待できない。
また、純粋に新しい投資家がこのマーケットに入ってくるかというと、それも当分、望み薄だろう。仮想通貨の値動きが鈍いだけに、投機目的の新規資金流入にも期待できないからだ。

となると当分、仮想通貨の値動きに高いボラティリティは期待できなくなる。ボラティリティが高く、上昇トレンドをたどっていれば、ICOも積極的に行われ、仮想通貨取引所は活況を呈する。が、今のようにボラティリティが低く、価格の先行き不透明感が強い時期は、ICOによる資金調達は低迷し、全体の取引も低調になる。
海外の仮想通貨取引所は、ICOによる資金調達を円滑にする目的で、次から次へと新しく設立されたところがたくさんあるだけに、ICOのために設立された仮想通貨取引所は、これから物凄い勢いで淘汰されていくだろう。取り扱っている仮想通貨の種類が多い取引所ほど、このリスクが高まると思っておいた方が良さそうだ。

一方、国内の仮想通貨取引所はどうかといえば、こちらは規制強化の動きがマーケットの拡大を妨げている。これは両刃の剣だが、ICOの良さは、IPOに比べて機動的な資金調達が行える点にあった。しかし、「詐欺」といってもおかしくないような資金調達が横行したため、金融庁は日本国内の仮想通貨取引所におけるICOに対して、厳格なルールを設けようとしている。
さらに言えば、日本国内においては税金の問題もある。現状、仮想通貨の取引によって得た利益は雑所得扱いだ。したがって、預貯金や投資信託など金融商品に比べて、投資家の税負担は各段に重くなる。FXがそうだったように、これもいずれ他の金融商品並みに、20%の源泉課税にしたいところだろうが、実現にはまだ時間がかかるだろう。日本は世界で初めて仮想通貨取引について、政府がルールを設けた国ではあるが、その運用があまりにも厳格に過ぎると、逆に投資家離れを促進してしまう。
価格低迷による取引の落ち込み、ICOによる資金調達環境の悪化により、海外の仮想通貨取引所は存続の危機を迎えているが、それらに加えて日本国内の仮想通貨取引所では、金融庁による規制の厳格化が、市場活性化への妨げになる恐れがある。

日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)を中心に、収益に対する課税率をFX並みにするなど、投資家利便を高めるための要望を打ち出していかないと、仮想通貨取引所の淘汰が進み、マーケット規模がシュリンクしてしまう。仮想通貨は、「インターネット以来の技術革命」と言われているブロックチェーンの実証実験場でもあるだけに、運用ルールを最適化する議論が必要だ。

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