ビットコイン相場のテクニカル分析(2019年6月前半)

6月に入ると短期間で上げ過ぎた反動から急落し苦しい展開となりましたが、80万円割れが阻まれると持ち直し底堅さを取り戻しつつあります。

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ビットコイン相場のテクニカル分析(2019年6月前半)

1. 概況

ビットコインの対円相場は、昨年12月に付けた安値35.4万円をボトムに切り返すと、その後の2度に亘る「三角持ち合い」からの上放れを経て、心理的節目65万円の突破に成功しました。5/30には、昨年5月以来、約1年ぶり高値となる99.0万円まで上昇するなど、「100万円」の大台回復まであと一歩に迫りました。6月に入ると、短期間で上げ過ぎた反動から急落し、一時80.7万円まで下押される苦しい展開となりましたが、80万円割れが阻まれると持ち直し、本稿執筆時点(6/8)では、86万円前後で底堅さを取り戻しつつあります。

1.	概況

こうした力強い動きの背景には、①世界的な金融緩和期待を背景としたリスクアセットとしてのビットコイン需要の高まりや、②改正資金決済法及び改正金商法の可決・成立を受けて仮想通貨(暗号資産)市場に健全化ムードが広がりつつあること、③ビットコインETFやBakkt(バックト)、ErisXやLedgerXなど機関投資家参入を想起させ得る潜在的な好材料が増えつつあることに加えて、足元では、④米中貿易摩擦の激化やグローバルに広がる地政学的リスクを背景にリスク逃避資産としてのビットコイン需要の高まりも指摘されます。つまり、仮想通貨(暗号資産)ビットコインは、リスクオンで上昇するリスクアセットとしての側面と、リスクオフで選好される安全資産としての側面双方の影響から資金流入が促されており、既存の金融プロダクトと無相関であるが故に改めて「その価値」が再評価される展開となっております。米司法省によるテザー社への訴追や、大手取引所バイナンスでのハッキング事件、VanEckのビットコインETF再延期など、多くの悪材料をこなした上での80万円台定着でもあり、ビットコイン円相場の中長期的なモメンタムは「極めて強い」と判断できます。本稿では、ビットコイン相場の先行きについて、テクニカル分析及びポジション分析の観点で考察いたします。

2. 移動平均線

2.	移動平均線

2月下旬に達成した、21日移動平均線(青)と90日移動平均線(緑)のゴールデンクロスを皮切りに、ビットコイン円相場はその後上昇トレンドに突入しました。4月上旬には、約1年ぶりに200日移動平均線(赤)を上抜けした他、4月中旬には、21日移動平均線(青)と200日移動平均線(赤)のゴールデンクロスも実現。5月2週目には、ついに90日移動平均線(緑)と200日移動平均線(赤)のゴールデンクロスも達成するなど、短・中・長期全てにおいて上昇モメンタムの強さが確認されます。

3. ボリンジャーバンド

3.	ボリンジャーバンド

トレンドの方向性を示唆するボリンジャーバンドのミッドバンドは、6/3の急落を経て、「右肩上がり」から「横ばい」へ下方シフトしました。35日連続でミッドバンド上方を推移していたローソク足も、足元の急落を経てミッドバンドを割り込む結果となりました。ボラティリティの大きさを表すバンドワイズチャートにはトレンドの終わりを示唆する「ボージからの下放れ」が見られるなど、ビットコイン円相場はひとまず「上昇」から「横ばい」へと調整局面入りした可能性が高いと推察されます。

4. 一目均衡表

4.	一目均衡表

ビットコイン円相場は4月中旬以降、①転換線の基準線上抜け、②ローソク足の雲上限上抜け、③遅行線のローソク足上抜けが全て揃う「三役好転(※強い買いシグナル)」が続いてきましたが、6/3の急落を経て、三役好転は終了しました(遅行線がローソク足に接触)。転換線と基準線のデッドクロスが実現すれば(現時点では未実現)、雲上限付近(70万円台後半)への一段の下押しもあり得えるでしょう。

5. RSI

5.	RSI

オシレータ系インジケータのRSIは一時90%超まで上昇しておりましたが、足元52.2%まで急低下するなど、過熱感(買われ過ぎ感)は無くなりました。但し、トレンドの終焉を示唆するダイバージェンス(ビットコイン相場とRSIの逆行現象)が発生していることから、ビットコイン価格の下落リスクには引き続き注意が必要でしょう。

6. 先物市場の動向

6.	先物市場の動向

米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する、6/4時点のビットコイン先物建玉一覧を確認すると、買い持ち(ロング)と売り持ち(ショート)の差を表すネット・ショートポジションが再び拡大に転じたことが確認されます。100万円の大台突破が阻まれたことで、投機筋を中心に先物市場で仕掛け的なショート造成が強まっている可能性が指摘されます。

7. オプション市場の動向

7.	オプション市場の動向

ビットコイン・オプションの建玉(6月28日行使期日)を2週間前と比較すると(オレンジが5/25時点、黄色が6/8時点)、6000ドル行使価格(≒648,000円)や7000ドル行使価格(≒756,000円)など、ダウンサイドオプションの建玉の増加が確認されます。100万円の大台突破が阻まれたことで、6月以降、個人投資家を中心にダウンサイドを織り込む動きが再燃したことが背景です。個人投資家は通常にライブ(デルタヘッジ無し)でオプション取引を行う傾向にあることから、スポット市場へのインパクトは、当該オプションの引き受け手となるMM(マーケットメイカー側)のデルタヘッジの向きに依ります。例えば、個人投資家が7000ドルPUTをデルタヘッジ無しで購入した場合、MMサイドのデルタヘッジは「現物売り」となります。よって、個人投資家によるダウンサイドPUTの買いが集まれば集まるほど、MMによるデルタヘッジを主因に直物市場ではBTCUSDを押し下げるインパクトを生まれます。当方では6月初旬以降の急落の一因に、オプションに絡むデルタヘッジの売りがあったと整理しております。

8. まとめ

ビットコイン円相場は、中長期的には「上昇トレンドの継続」が予想されますが、短期的には、①ボリンジャーミッドバンドの傾きの下方シフト、②一目均衡表・三役好転の終焉、③RSIのダイバージェンス、④先物市場に見られるショート再造成の動き、⑤オプション市場に見られるダウンサイドを織り込む動き、⑥MMのデルタヘッジに伴う価格押し下げ効果、⑦俄かロング勢のロスカット及びやれやれ売りの影響などから、上値の重い展開が予想されます。当方では、6月前半(6/15まで)のメインシナリオとして、BTCJPY相場の下落を予想いたします。予想レンジは75万円~95万円。

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